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断る勇気

思い出

人生において人は白黒つけなくてはいけない瞬間に何度も出会うだろう。

 

例えば、

服を買いに行って、店員さんにおすすめされた時。

 

投資マンションの営業の電話がかかってきた時。

 

彼女が作った料理を食べて、「美味しい?」と聞かれた時。

 

人生には必ず断らないといけないときがある。

 

男もそんな決断に何度もせまられたときがある。

 

時に思い出せるのが≪バレンタイン≫だ。とあるデパートでしているバレンタイン商戦のコーナーの横を通ったときに思い出した。

バレンタインが訪れるたびに思い出す最もバレンタインらしく、そして男史上最も調子にのった一日、さらには男史上最も何も手につかず悩んだ一日、そして多くの女子を瞬時に敵にまわした一日。

 

バレンタイン、今では「友チョコ」、「ファミチョコ」、「自己チョコ」、「強敵チョコ」、、、バレンタイン商戦のために企業が売り上げをあげるために仕組んだ戦略とは言え、もらえない人、あげる相手のいない人の逃げ道になっていないだろうか、、、、

 

そんなことを思いながら、そんな逃げ道がなかった中学生時代のその苦い思い出が脳裏をよぎった。

 

朝、6時に起きた。幼き男は中学でサッカー部に入ってからというもの変わりなく朝練のためにその時間に起きていた。

いつもと変わらぬ朝。のように思えたが、、、、無駄にドキドキして目覚めた。

そう、今日は「バレンタイン・デイ」。

もらえる予定?あるわけない。相思相愛の人?いるわけない。告白される予定?一生ないかもしれない。でも中学校には女の子が150人くらいいる。

 

「いやいや、男、よく考えろ!俺はサッカー部、いちよモテる系部活の一人。試合には女の子たちがよく応援にきていた(俺の応援団ではないが)1/150くらいいるはずだ。いやいや、待てよ、中学どころか、毎朝僕が校舎の外を走っている姿を他校の生徒が見て渡してくるかもしれない。おいおい、待てよ、それどころか、家を出たときポストにすでにインされてるかもしれない。」

 

バカな男は1センチの可能性にかけていた。

しかし、無駄にドキドキしていた。朝食は喉を通らず、ほとんど食べずに7時に家を出た。

ガチャ、、「いってきます~」

さあ、男の戦いが今幕をあけた。

 

第一ステップ、、、ポスト、、、、ない。

通学途中、、、、誰にも会わない。

 

朝練、、、、男だらけのバカな会話が始まった。

バカだ本当にバカだ。俺が一番もらえる。なんていうしょうもないこぜりあい。

 

しかし、男は強がって言った。

「おいおい、俺はバレンタインなんて興味ないから。チョコ?おれ、チョコ興味ないし。さあ、そんなバカ話いいから走るで」

男は猛烈に強がった。14歳にして最強に強がった。しかし、誰よりもチョコを欲しがったのは他でもない、この男だ。

 

毎朝、4キロ。男たちはもくもくと走り続けた。しかし、男は他に朝練をしている女子の部活の女の子をその日だけは異様に見ていた。

誰だ~俺にチョコをくれるのわ~。男はくだらぬ妄想を誰よりもふくらませながら

いつも以上に並々ならぬスピードで走り続けた。

 

そんな妄想だらけの朝練を終え、その日は汗も必要以上にふき、とにかく綺麗な体にした。

そして、部室を出て下駄箱に行って靴を履き替えているときに事件は起こった。

 

「男君、おはよう。」それは学年で1、2を争う可愛い女の子だった。

何度か会話したことはあるが朝挨拶されたのは初めてだった。

男の心臓は最高にバクバクと鼓動をうった。

 

もしかして

もしかして

もしかして

 

「男君、今日学校終わったら教室にきて、じゃあね」

そう言うと、彼女は気持ちのいいシャンプーの香りを漂わせながら僕の横を通りすがった。

 

え?まさか?きた~~~~!!!!!!!!!!!!!

男は普段は使わないスタンド。スタープラチナを使って時を止めて最高のガッツポーズをして1秒後何もなかったかのように廊下を歩き始めた。

 

1限目 男は授業など聞いていなかった。

2限目 男はノートにその女の子の名前を幾度も書いていた。

3限目 男は告白された際のチョコの受け取り方を研究していた。

お昼  男はごはんが喉を通らなかった。そして、男は弁当も食べずに廊下を歩いていると、女の子から声をかけられた。

「男くん、待って」振り返るとそこにはクラスで一番キレイ、しかし、どこか可憐で吹奏楽部でフルートを吹くような女の子だった。

 

何?二人目????なになに?

「男くん、今日、学校終わってから暇?よかったら学校終わったら教室にきて、待ってるから!!!」

 

え~~!!!男に奇跡が起こった。二人目!!!!!モテキ来た~!!!!!

男は発狂した。もちろんスタープラチナを使って時間を止めて発狂した。

 

もういいよ!サッカーで点なんて決める必要ないよ!だって、俺は14歳にしてすでに人生という2ゴールを決めたんだから!男はもう一度時間を止めてカズダンスを踊った。フォ~~!!!!

男はトイレに走って、トイレの鏡で自分を見た。なんやねん、俺、モテるやんけ!!

男はしばらく決め顔の練習をした。

 

しかし、男はすでにうれしいを通り過ぎて気持ちが悪かった。

こんなにモテていいのか?この先モテないんじゃないのか?ダイジョブか、俺の人生?

大丈夫だ!男よ、だって、もうモテる必要ないから。どちらかと結婚すればいいのだ。

 

4限目 男は女の子二人から同時に告白される絵を描いていた。

5限目 男は気が付いた。二人とも学校終わりに教室?2対1?同時に告白?

    どちらかを断らないといけない?なんて罪なんだ。どうすればいいんや。

    やばい、どうしよ。別々の場所にしてもらわないと。

    パニクッた、とにかく授業どころではない

 

清掃時間 やばい、声をかけにいかないと!いや、できない、こんなみんながいる場所

      で声などかけられない。俺たちのこれからの関係がバレてしまう。

 

あ~~~!!!!!!!どうすればいいんだ。

なんて贅沢な悩みなんだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

が、しかし、刻一刻とその時がせまっていた。

男は部活に遅れていくことを伝えると放課後の教室に向かった。

 

いつも歩いている廊下がこんなに長いとは、、、歩け歩けど廊下の一番奥にある自分の教室にたどり着かないなんて。

もう何時間歩いただろうか?おそらく三日は歩いたであろう末にたどり着いた教室。

扉の窓ガラスから中を覗き込むと女の子が二人いた。

 

言わんこっちゃない!!!だから手を打つべきだったんだ!!

修羅場だぞ~これ!!!!

ガラガラガラ~扉を開けると今まで経験したことがない空気の重さがそこにはあった。

どうしよう、どちらを選べばいいんだ?断った女の子のほうが泣いたらどうしたらいいんだ?抱きしめるのか?そのあともう一人のほうはどうしたらいいのか?一緒に帰るのか?どうすれば????

男はバレンタイン告白、二人同時告白、修羅場、14歳という若さで三冠を手に入れた。大物人生が待っていることは間違いなかった。

 

「ごめんなさい!!!!二人とは付き合えません。」言った。男は言った。

 

これしかなかった。どちらからが泣くなんてだめだ。男が選んだ最上の決断だった。

人生とは決断の連続だ。男が人生で下した最上に重い決断だった。

 

男は深々と頭をさげた。

すると、どちらかの一人が声を発した。

「なに言ってるん?男くん、勘違いしてる?」

 

(・・?え?

 

と、教室の端のほうからもう一人女の子が出てきた。二人しか見えてなくてまったくその存在に気が付かなかった。

 

え????どゆこと?

 

クラスいち可愛い女の子が言った

「A子が男くんのこと好きなんやって」

学年いち可愛い女の子が言った

「チョコ作って来たらしいから、、ちゃんと話聞いたり」

 

で、だれ?見たことない。いや、その子も可愛いと思う、でもねでもね、何時間も悩み続けて期待し続けた結果、、、、、、、

 

ラーメン食べたくて店に入ったのにうどん出された感じ。

 

男はテンパった。最上にテンパった。

 

そして、3人目は言った「男くん、好きです。付き合ってください」

と、銀色のハートの入れ物に入った中身はチョコであろう。

 

で?君は誰?男が悩んでいると、、、、、

横の可愛い二人が言った

「どうするん、男くん、付き合うん?付き合わないの?早く言いや」

 

いや、誰?この子?

男はてんぱった。

 

しかし、答えが出ない。どうしたらいいんだ?

攻められる男、攻める女二人、その間に立たされて泣き出す三人目

 

男は気が付けば、教室を出て廊下を走っていた。

 

そう逃げたのだ。とにかく逃げたのだ!!

断るだけが勇気じゃない!!!逃げるのも勇気!!!!!!

 

男は右手にチョコ、左手に勇気をもって走った。

男は平然と部活をこなし、バレンタインという日がなかったことにした。

 

寝て記憶を消すという手段を使った。

そして、次の日、学校にいくと、忘れた記憶を友たちによって呼び戻された。

そうすでに僕の悪行は全校に知れ渡っていたのだ。

男どもからはイジられ、女たちからは「最低~」の冷たい言葉をいただいた。

 

逃げるは恥です、役に立たん。

 

ふ、男は微笑を浮かべながら、一年に一度このバレンタインの日にあの苦い一日を思い出すのであった。

やはり、バレンタインとはこれくらいの男女のハラハラ感がなくてはならないのだ。

そう、バレンタインとはチョコレートを巡る一年に一度の男女バトルである。

 

忘れるな!!!自分へのチョコ?

そんなもん普段買え!!あえて14日に買うとむなしいぞ!!!

 

14日が今年もやってくる。

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