恵方巻の名づけの親はセブンイレブンだということを誰も知らない

男はまるで人質が巻いたタオルを口に突っ込まれて喋れない様にされたかのごとく

その直径4センチに至るプレミアム恵方巻を口に突っ込んだまま北北西に向かって立っていた。

 

今日はそんな日本の験担ぎ的風習のひとつだ。

 

男も以前働いていた会社が運営するふぐのお店「ふく万」に恵方巻を予約していたのだ。

 

男が手に入れたのはプレミアム恵方巻だ。

 

中身はカニ、ウナギ、フグのたたきなど高級食材を贅沢にもシャリという羽毛の

上で一緒に寝かせた贅沢過ぎる逸品だ。

言うならば天皇家を丸め込んだかのようなロイヤルファミリー寿司だ。

 

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値段は2017円

おわかりだろうが今年の西暦と同じだ。

つまり、毎年一円づつ上がるという変動相場制である。

ハワイが毎年一センチづつ日本に近づいている制度を取り入れたのだ。

 

そう、そんな壮大でスペクタクル感を出している恵方巻を男は仕事を終えてから

北北西に向かって口にぶち込んでいた。

 

顎がはずれるかはずれないか、そのギリギリの戦いが恵方巻の醍醐味のひとつだ。

男もまたその醍醐味に生まれてから37回も挑戦し、今年も無事に外れずに噛みしめた。

その瞬間、彼の口の中では多くの高級食材が下の上でのたうちまわり、味覚を超越した。

まず、口の中で恋ダンスならぬ「味ダンス」を踊り始めたのは魚類界の星野源というべきフグだった。

♪♪海苔の中

 フグを食べたら色めき

 シャリたちは運ぶわ

 福寿と幸せの群れ

 

 味なんか

 ないさ想いがあるだけ

 ただ飯の一部で

 腹の中に落ちるんだ

 

 二口も食べたらふと

 くわえて思うことが

 飽きが生まれるのは

 三口から

 

 口の中にあるもの

 いつか噛めなくなるもの

 それは腹にあること

 いつも思い出して

 腹の中にあるもの

 シャリの中にある具材

 味がしたの貴方の

 巻の具合 海苔の香り

 細巻超えてゆけ

 

 作詞:男 作曲:星野源

 

海鮮界の星野源「ふぐ野源」が歌い、さながらその細いおみ足は海鮮界の新垣結衣ともいうべき「新カニ結衣」が可愛らしい味で舌の上で踊りはじめた。

そして、ヌルヌル界の古田新太こと「ウナ田新ギ」のシブさがフグとカニの味心をいい感じでかき乱す。そして、磯界の石田ゆり子「石田うに子」が爽やかに二人の味を見守る。いい味で関係ない問題をまき散らす魚卵界の藤井隆「数井の隆子」もなんだかんだ叫んでる!!

そして、そんな彼らをその輝くまでの男前感で5秒に一回攻撃してくるのが海鮮界の大谷亮平こと「いくら谷亮平」だろう。主張が強すぎていつも主役を食べようとするその存在がいるからこそ主役が輝くのだ!!

 

スイカの甘味が欲しいなら塩をふれ!

と昔の人はよく言ったものだ。

 

そう、今、男の口の中では、

SUSHI TV系列ドラマ「食べるは幸だが腹は持つ」の第一話が放送されていた。

 

果たしてその結末わ!

 

男は自分の願いを込めるでもなく、ただただフグ男とカニ子の味心を応援するためだけに今年の恵方巻を噛みしめて節分もふけるのでした。